世に云う敷金精算・・・

まあネットでは逆の立場のひとの情報や裁判記録なんかが山のように有ったりする。幸いうちは訴訟とか大きな揉め事とかは会わずにすんでいるけど*1逆の立場ってことでひとつネタにしてみる。

  • 今回の例
    • 預かり敷金は3か月分で約25万円 礼金はゼロ*2
    • 原状回復にかかった修繕費は約45万円(うちクリーニング代5万円)
    • 契約期間は4年強
    • 退去時は汚損が激しく、日常的な清掃も怠っていた模様。

通常、この物件に掛かる修繕費は大体20万前後といったところです。殆どの場合退去者に敷金の一部を返すことができるんですが、今回の場合は管理も悪くかなりアシが出てしまいました。ただ、いきなり「差額20マソ払えやゴルァ」とか内容証明を送りつけるわけにはいけません。それで黙って払ってくれれば経営的に万々歳ですが、倫理的にも危機管理上もマズイわけです。

  • うちが先方に出した請求文
    • 拝啓等事項の挨拶をきっちり抑える。
    • 直接的に相手に責任を押し付けない「誠に恐縮ながら、汚損の状況が激しく・・・」
    • 見積書だけでなく業者がうちに出した請求書のコピーも添付する。
    • うちの負担割合を明確にする。
    • 念のため、配達記録で郵送する。
  • 請求の内訳(例)
    • 「修繕費」・・・45万
    • 「預り金」(敷金とは書かない)・・・25万
    • 「弊社支払額」・・・15万(諸経費の全額と壁紙の張替とクリーニング代の半額*1.05)
    • 「不足額」・・・5万

一般的に、借家人と家主の間で退去時の負担割合について明確な契約がなされるのはまれのようで、うちの場合は仲介業者の契約書で契約しているのですが、やはり「退去時に敷金から修繕費を差引く」と書かれているだけで、その算定基準などは記載されていません。敷金は既に不良債権化しているKT家の家業の場合、法的なトラブルを回避するため国土交通省ガイドラインや社会通念上問題のない範囲で経営上ギリギリの線引きを行う必要あります。

つまり

相手を刺激せずにギリギリまで負担してもらう

必要があるのです。見積に含まれる諸経費を全額負担したのは、退去者にとって不明朗な費用だからです。壁紙の張替えに関しては居住年数に応じて家主の負担割合が増えるのが通例*3で4年目であれば家主の負担は6割が相場のようです。クリーニング代は家主が全額負担するのが通例ですが、今回退去時に立ち有った父の話では「浴槽は長髪が大量に張り付いて赤茶けて、床も妙な色に変色していた。シンクは空き缶の跡が出来て錆びていて、部屋全体のニオイもかなり強烈。」との事で、家主感情としてクリーニング代は負担したくないと思いました。
負担割合を最終的に決める場合に、一番の決定要因になるのは最終的な請求金額です。コレが少なければ少ないほど経営的には苦しくなり、多ければ多いほどトラブルとなる確率が高くなります。汚損の状況が酷いのは退去者はある程度認識しているとして、今回請求できるのは5-7万程度が妥当な線かと推定し、あとは本来家主が負担すべきとされる壁紙とクリーニング代の負担割合を調整してその額に近づけるように決定しました。



しっかし、これで敷金返還訴訟とか起こされたら泣くよ俺は。相手西日本だし・・・

*1:既述の某先物取引会社は消滅したっぽいけど。

*2:政府系金融機関から融資を受けているため礼金は取れない。

*3:ここでは良心的な家主の場合のこと